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◆プティ・マンサン◆品種
山形県のワイナリーでは初めて栽培醸造したフランス南西部ポー原産の品種です。
白ブドウながら、初冬を迎える頃まで実らせる事が出来る驚異のポテンシャルを持ちます。
圧倒的な糖度・酸度の数値の高さに比肩する他品種は滅多に無いでしょう。
現在(2023.11)は合計で0.7㏊の畑を一文字短梢栽培で管理しています。排水性の良い粘土質土壌で優良な桃畑だった所を改植しました。品種に備わる高貴で官能的なアプリコット、黄桃、蜂蜜のような香りを活かした甘口から、高アルコールを活かした飲みごたえのある辛口まで用途の幅が広いのも特徴です。様々な品種との親和性も高く、今後の【かみのやまブレンド】の中核を成す重要な品種と位置付けています。
2021 レビュー
Technical data ・・・・・・・・・・・・・・
品種構成 プティマンサン72%
シャルドネ23%・アルバリーニョ5%
収穫日 2021年9/29、30、11/6、8
畑 原口畑、生居畑、植ノ山畑
アルコール度数 13.2%vol.
総酸度 7.2g/L
pH 3.20
樽比率 100%(新樽3%)
生産本数 1186本
クロージャー DIAM10
瓶詰日 2022年10月18日
Wine Story ・・・・・・・・・・・・・・・・
ウッディファームで栽培する品種の中でプティマンサンは群を抜いています。
糖酸度の高さに加え、低phの成分値だけを見れば【日本じゃないみたい】な品質のブドウが今のところ毎年収穫できます。
真正面から辛口ワインを醸造すれば、アルコールは15%に迫り、酸度は9g/Lを越え、ph3.0付近の、超が付く程強いワインが生み出される事は過去のトライアルで経験しています。
食事との相性や身体への負担を考えれば、もう少し酒質を緩くしたいところ。
ハードな原酒を解すキーになるのはシャルドネでした。強すぎる個性が緩和され、ますます親しみやすく好きになるでしょう。
それはプティマンサン愛好家の為のブレンドワイン、名前をPhil‐Mansengと言います。
香りに白桃の核果系をベースにパイナップルやマンゴーのトロピカルフレーバー、バニラやカルダモンのスパイスが溶け込んでいます。硬質な酸味のお陰かアルコールのボリュームはそれほど強く感じず、食事を引き立てる事も主役になる事も出来るワインです。
Technical Supplements ・・・・・・・・・・
11月初旬に収穫されたプティマンサンを全房で搾汁しました。得られた果汁はBrix22.5、ph3.1、酸度10.1g/L。何という数値でしょう。
デブルバージュは行わず、濁度は高めで開放タンクで発酵を促しました。
発酵完了後に野生酵母で仕込んでいたシャルドネをブレンドし、樽入れ前にアルバリーニョで香りを足しました。
バトナージュは不定期に行いMLFへ誘導しています。
樽出し後に最も遅摘みし新樽発酵させたプティマンサンを3%ブレンドしました。
全てのブレンドが完了し落ち着いてから瓶詰めしましたが、ここでアクシデントが…。なんと瓶の中に巨大な酒石酸の澱が析出してきました。
酒石酸はアクアリウムの様にひらひらと直ぐに瓶底へ沈殿します。気になる方はデキャンタをお勧めします。
瓶詰め直後は酸度に金属的な冷たさがあり、これはミネラルと表現しても罰は当たらないでしょう、という味わいでしたが一年経つと果実の風味が戻り、析出した分だけ酸も解れたように感じます。それでも通常のワインよりは強靭ですので、プティマンサンを愛する人向けに変わりはありません。